そうやってまだ抗って生きている時間を、自分は青春と呼びたい。

 2022年6月22日に“シナリオアート”が自身初となる2枚のアルバムを同時リリースしました。バンド盤・4th Full Album『Blue Smell』、アコースティック盤・1st Acoustic Mini Album『White Smell』となっております。そしてアルバムリリースに伴い、4年ぶりとなる東名阪ワンマンツアーを開催。7月23日(土)には東京都・渋谷WWW公演を予定!
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“シナリオアート”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾です。執筆はハヤシコウスケが担当。綴っていただいたのは、アルバム『Blue Smell』にまつわるお話です。Blue Smell = 青臭い。その言葉にたどり着いた心模様を明かしてくださいました。



窓を開けると“もわわわ~ん”という擬音語が聞こえそう。
 
アチい。遂にきたな~夏。梅雨はもういいのか?
 
夏がくると決まって同じ情景を思いだす。
 
地元の山、鳥居があって、石段があって、のぼっていくと、頂上に厳かな神社。
 
木漏れ日、蝉のこえ、汗だくになりながらグリコで階段を登る。負けたくなくて必死にジャンケンをした。誰と遊んでいたかもよく思い出せないけど、いつも夏の匂いと共にフラッシュバックするイメージ。
 
不思議だなあ。忘れてしまった、大切だった事でもあるのかな? 何にも思いだせないけど。
 
コロナ禍、外界から遮断され極端に人と話さなくなった。
ぼーっと部屋に引きこもっていると、昔のことを思い出す。
 
だめだ、だめだ!!ノスタルジーなんて、未来へ足枷だ。
あの頃はよかったなんて言いたくない。
 
しかし、こんな閉塞感のある現在で、今が最高なんて言えなくて
 
やっぱり思い出は綺麗であたたかくて
 
いま歌えるのは過去の事なのかも? と思った。
 
そして、過去のいろんな地点の情景をスケッチするように
今回の作品を制作した。
 
アルバムタイトルの Blue Smell = 青臭い 
 
少々自虐でシニカルなニュアンスなのは
ちょっとした照れ隠し。
 
 
こないだ突然上京してきた、昔のバンドメンバーと会った。
当時、組んでいたバンドのメンバーはこれで全員東京へ進出。
 
遂に本腰入れてやるんやなあ。感慨深いなあ。
で、どんなバンドしてんの? え?2人組? えらい攻めた構成やな。
ちゃうねん芸人やねん。芸人?
バンドしかしてこなかったヤツが、お笑い芸人になる為に東京にやってきた。
なんやそれ。
 
「人生一度きりやしな!!」
 
なんか久しぶりに聞いたなあ、そんなセリフ。
忙しい日々には忘れがちな “人生一度きり”
ほんとうに理解できているのか? 
自分だけは永遠に死なない感覚で生きてないか?
 
明日はどうなるかわからない、見通しのきかない世界だからこそ
今この瞬間に言わなければいけない。
 
「「君と生きていたい、君がいないと悲しい」」
 
めめしくて、全然カッコよくない、スマートじゃない、時流のシティ感もゼロ
 
だけれども照れている猶予はないからなあ。
 
ストレートな思いをいっぱい歌った。
 
「Blue Smell」
 
がむしゃらに、青臭くぶつかっていたい
 
アンチテーゼであり、宣言みたい。
 
そうやってまだ抗って生きている時間を、自分は青春と呼びたい。
 
そんな作品ができたんですよね~
 
<シナリオアート Gt/Vo ハヤシコウスケ>



◆4th Full Album『Blue Smell』
2022年6月22日発売

<収録曲>
1 テンダーランド
2 アイマイナー
3 ブルースメル
4 アオノリビドー
5 アンティークトロフィー
6 トワイヴェール
7 ドリーミーラブストーリー
8 ドリームイーツ
9 スーサイドスポット
10 アカシアホーム
11 スワンテイル