大好きな世界になれたらなと思いながら今日も音楽を作っている。

 2021年9月8日に“ササノマリイ”がニューミニアルバム『空と虚』をリリースしました。タイトル曲は、ササノマリイ自身が大ファンであるアニメ『ヴァニタスの手記』のオープニングテーマとして書き下ろした1曲。そしてアルバムにはその『ヴァニタスの手記』からインスパイアされて制作された楽曲7曲が収録されております!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“ササノマリイ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は最終回です。初めてのパソコンがやってきたときの高まり、自分の音の表現法がわかったときの感覚…。自分なりに音楽の作り方を見つけていった軌跡、今のササノマリイの音楽に通じている記憶、そしてこれからの意志を明かしてくださいました。是非、今作と併せてお楽しみください!

~歌詞エッセイ最終回~

眠りたい時に眠れなくて
起きていたい時にとても眠くて
うつらうつらとしながら思い馳せる
思い出せるものを少しずつ書き溜める

夜が少しずつ明るくなりはじめて。
とりとめ という言葉はどこかへ。


中学二年生の頃、
我が家にはじめてのパソコンがやってきた。
ノートパソコン。

どうやらパソコンで本格的に曲を作れるらしい、
ということだけは知っていたので、
家族共用ではあるけれど、
そのパソコンで曲を作りたい、という気持ちだけが
頭の中を走り回っていた。

自分が使える時に、
「作曲 ソフト フリー」みたいな簡単な検索をして
紆余曲折あって、あるソフトに出会う。

…ちなみにここでその紆余曲折を
しばらく1500字ほど書いていたけど、

かたくるしい用語の説明とともに
次の話に至るまでの遍歴が
ずらずらずらと書かれていることに気付き
慌てて大部分を消した。あぶない。

簡単に言うと自分の目的に対して少し違った、
それでも打ち込みとは何ぞやというのを覚えるには
とても大切なソフトとしばらく付き合うことになる。

ひとまず、

起動する!音符を置く!音が出る!

という体験をしたかった
せっかちな中学生の自分は、
目についたいろいろなソフトを試す事にする。

そこで出会ったのが自分の
「パソコン打ち込み音楽体験」の原点、
ミノ式MIDIシーケンサ。

現在では公式のページが
残念ながら無くなってしまっているけど、
このソフトに大変勉強させていただいた。
MIDIの意味はまだよくわかっていなかったけど。

テレビで流れているような音は出ないけど、
自分で打ち込んだものが
その通りに再生される事がやっぱり楽しくて。

大きな影響を受けた曲も
耳で覚えている限りで打ち込んだ。
正しい音ではなかったかもしれないけど、
理想の世界がそこにある気分になれた。

そのあたりのソフトで
オリジナル曲のようなものを
しばらく作りはじめた頃。

「ピストンコラージュ」に出会う。
愛称はピスコラ。
とても独特な操作感のソフトだった記憶。

このソフトは鳴る音自体も
波形データとして用意する必要があったけど、
その仕組みのおかげで作りたい音楽の形に
とても近いものが作れる事にものすごく感動した。
思い通りの音で自分の音楽が作れる事が
楽しくて楽しくてしょうがなかった。

はじめてこのピスコラで1曲が形になった時は
自分で聴きながらパソコンの前で
小躍りしていたのを今ぼんやりと思い出した。

サンプリングとか音作りとか、
わからないながらに覚えていけていた。はず。

(気になって調べたら
まだ開発を続けていただいていた!
また使わせてもらおう)

自分の音の使い方というか、
どういう音の表現をしたいかは
このあたりで固まってきたような気もする。


またしばらくして。
高校生になって少し経った頃。
鍵盤で弾いたものがこの譜面になれば
打ち込みが楽なのに、と思い始めた。
このキーボードがパソコンに繋がればなぁ…
となにか方法がないか調べたら、

あった。
それこそがMIDIという規格で、
パソコンにケーブルで繋げば
対応しているソフトで打ち込みに使えると。

これだ。

そこからはまた長いことになるので、
はしょりはしょり。

全部手探りで少しずつだけど、
何が正しい作り方のかもわからないけど
(今もわからないけど)
音楽を自分なりに作るやり方を見つけていった。

自分の作る音楽を聴いてくれた人に、
いつぞや自分が音楽に感じた
衝撃だったり、影響だったり、安心感だったり、
そういったものを与えられるようになれたら嬉しいな
なんておこがましい思いを抱いたりしながら

大好きな世界になれたらなと思いながら
今日も音楽を作っている。

<ササノマリイ>