部屋でぼーっと日向ぼっこしているとピロンとスマホの通知が鳴った。

 2021年5月26日に“um-hum(ウンウン)”が1st mini album『[2O2O]』をリリースしました。彼らは2020年関西最大の音楽コンテスト<eo Music Try19/20>でグランプリ受賞。急速に注目を集める、結成1年半の平均年齢21才大阪発4ピースバンドです。今作には、全8曲を収録。3日間で一気にレコーディングを終え、彼らの初期衝動が詰まった現時点での最高傑作となっております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“um-hum(ウンウン)”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。執筆を担当したのは小田乃愛(Vo)です。綴っていただいたのは、日常のとある3つのお話。友人とマックを食べたり、LINEのグループ電話をしたり、後輩の美人な恋人の話を聞いたり。どこか歌詞に通じているリアル。是非、楽曲と併せてお楽しみください。

~歌詞エッセイ第2弾~

1.この間友人とマクドナルドを食べた。
夜マックの、倍マックの、ビッグマックを食べた。僕らは偶然音楽の世界で出会った間柄だけど「同じクラスの友人」と言う設定で、嘘の話を作り上げながら2人、学生の多い店内で盛り上がっていた。

「あの英語の永田、今度結婚するらしいな」とかマジの顔をしながら。それに合わせるように会話を広げる。途端に“笑ったら負け”みたいなゲームが始まって、僕は思わずニヤニヤしまった。もしかしたら僕らは音楽とかより本気で演技に向き合った方がいいのかもしれないとか思ったり、しなかったりした。

満たされた腹がふたつ、ヘニョヘニョになりながら帰っていた。「爆弾落としてくるわ」とコンビニを見ながら言うので僕もついて行く。向かい合っている位置にあるトイレへ、戦場に向かうかのように二人してドアを閉じる。すると途端に向かいのトイレから「ブフォオオオ」と爆弾が落ちる音が聞こえた。僕は思わず吹いてしまった。もしかしてこのコンビニはブラジルまで陥没してしまうのではないか。トイレを出て とんでもない兵器とまた訳の分からない話をし合い、爆笑しながら帰った。


2.週に3~4回、LINEのグループ電話の通知が鳴る。
「お、来たな」と思いながら電話に参加する。鈴木と、鈴木と、長井と僕の4人でゲームをする。一瞬で遠い場所と繋がる。空にはどんな線がうじゃうじゃしているのか知らないが、途切れない4本の線で 多分僕らは繋がっている。

何気ない話をしながらコントローラーを握りしめる。この時間だけは本当に何にも考えずに敵を殺す。話していると、どうやら鈴木と長井はもう少しで同棲をするらしい。しかも2LDKらしい。電話を切るとき、いつも少し物寂しい感じになるから、自分は一瞬で切るようにしている。

切った後、あいつらの2LDKはどんな部屋になるのだろうとか、どんな飯を作るのだろうとか、ちょっと考えて楽しみになった。そして寝る前にちょっと歌詞を書いた。


3.部屋でぼーっと日向ぼっこしているとピロンとスマホの通知が鳴った。後輩だ。こいつはもう10年くらいの仲で、なんでもかんでも話せる唯一の友人だ。「暇」と書いていたので、「さて公園でも行くか」と返した。僕らはいつもこんな感じで喫茶店に出向いたり、コンビニでアイスを買って食ったりする。

めでたい事に最近こいつには彼女ができたらしい。それも、画像を見せてもらう限りとびきりの美女である。こんな美女と、これから傷付きながらも2人の世界を作っていくのだ。ただただ応援の気持ちでいっぱいである。僕はこの美女のことを、話を聞くのみでしか知ることができないが、勝手に想像して歌詞を書いたりする。

ごめんな後輩。この世界で描く美女は、お前の世界で見ている美女ではないかもしれないが、俺はお前より、この世界でその美女のことを知ってしまっている。惚気話を聞きながらこっそりひとりで答え合わせをするのが、最近のちっちゃい趣味だ。



これが日常。思い出せる範囲の日記。

<um-hum・小田乃愛>

◆1st mini album『 [2O2O]』
2021年5月26日発売

<収録曲>
01 Ungra(2O2Over.)
02 芥
03 Yawning
04 JoJo(2O2Over.)
05 続予報
06 20??
07 space interval
08 secret track