第70回メーカー対抗最大人気曲TOP15

メーカー別で見た最も歌詞人気のある楽曲とは?

 前月の歌詞検索ランキングから、キラっと輝くキラー・チューン(名付けて“キラ☆歌”)を発掘しようというこのコーナー。今月は、各メーカー1曲限定での人気曲を並べて分析してみた。

 毎回様々なテーマをひねり出しては(汗)歌詞人気を探っているのだが、どうしてもユニバーサルミュージックの楽曲やアーティストに集中してしまう。実際、今年になってからもクマムシ、[Alexandros]、Da-iCEなどの新進系もユニバーサルだし、今月ルーキーのwhiteeenも同社。back number やGReeeeN、ナオト・インティライミなど歌詞人気の常連も、シェネルやMACOといった人気曲の多い女性ボーカルも同社となっていて、他のメーカーの注目株になかなか触れられない。そんな経緯から、今月は1社1曲限定で様々なメーカーの人気曲に触れたいと思った。以下、分析していこう。

第70回メーカー対抗最大人気曲TOP15(2015年5月:2015年4月データより分析)

テーマ
順位
総合
順位
アクセス指数
タイトル
アーティスト
メーカー
発売日
1位 1 100.0 花束 back number ユニバーサル 2011/6/22
2位 4 73.0 STORM RIDERS
feat.SLASH
三代目J Soul Brothers
from EXILE TRIBE
エイベックス 2015/4/22
3位 8 57.9 RPG SEKAI NO OWARI トイズファクトリー 2013/5/1
4位 10 51.6 私以外私じゃないの ゲスの極み乙女。 ワーナー 2015/4/22
5位 17 39.1 君に届け flumpool A-Sketch 2010/9/29
6位 19 37.2 さよなら、アリス Flower ソニー 2015/2/18
7位 27 30.1 小さな恋のうた MONGOL800 HIGH WAVE 2001/9/16
8位 28 29.8 あなたへ贈る歌 erica ビレッジアゲイン 2014/5/21
9位 33 27.5 サンキュー。 大原櫻子 ビクター 2014/11/26
10位 47 23.2 やっぱり好き CHIHIRO テイチク 2015/4/8
11位 48 23.0 貴方の恋人になりたいのです 阿部真央 ポニーキャニオン 2009/8/5
12位 49 21.7 にじいろ 絢香 A-StAtion 2014/6/18
13位 56 19.7 二宮和也(嵐) J-Storm 2007/7/11
14位 82 16.9 マジLOVEレボリューションズ ST☆RISH キング 2015/4/8
15位 89 16.4 中島みゆき ヤマハ 1992/10/7
※各メーカー1曲限定で最も歌詞検索で人気のある楽曲をピックアップした。

1位は歌詞サイト上位常連のユニバーサルだが最大人気は、4年前の「花束」!
若手の人気が目立つワーナー、今後さらに飛躍する!?

 1位は、やはりユニバーサルのback numberから「花束」。もともと結婚式ソングとしてもロングヒットしてきたが、今年1月の「ヒロイン」のヒットで再注目されていることも大きい。back numberはこの2曲以外にも、「高嶺の花子さん」「わたがし」「恋」「青い春」なども総合TOP50入りと、人気絶頂ぶりが分かる。2位は、エイベックスの三代目 J Soul Brothersの最新曲。元ガンズ・アンド・ローゼズのギタリストSLASHが参加した事でも話題のハードなアッパー・チューン。三代目JSBでは他に「Eeny, meeny, miny, moe!」や、「R.Y.U.S.E.I.」も総合TOP10入り。ただ、かつては、幅広いアーティストの歌詞人気曲が目立ったエイベックスだが、現在では彼らやEXILE、E-girlsといったLDH系以外で人気なのはAAAと東方神起くらいで、かなり人気が偏っているようだ(無論、安室奈美恵のように歌詞以外の要素の支持が絶大というアーティストもいる)。注目は4位のワーナー。最大人気曲はコカ・コーラCMで注目され、初のダウンロード・ヒットなっているゲスの極み乙女。の「私以外私じゃないの」だが、同社の2番手はきゃりーぱみゅぱみゅ「もんだいガール」、3番手はchayの「あなたに恋をしてみました」と、どの曲も今年発売、どのアーティストもデビュー5年以内で勢いが感じられる。同社からは、今後もさらに多くの注目アーティストが出てきそうだ。

 上位TOP5は男性ボーカルのアーティストに集中していて、女性アーティストは見られないが、8位以下になると、ericaやCHIHIRO、大原櫻子と更なるブレイクが期待される女性ソロが続々。“ギタ女”という言葉もやや一段落ついた感じもあるが、まだまだアイドルブームに負けずに、各メーカーのイチオシとしてさらに頑張ってほしい。意外な所では、11位の阿部真央が歌詞人気常連ということだろうか。この「貴方の恋人になりたいのです」は09年の2ndシングルで安定した人気だが、他にも「I wanna see you」「私は貴方がいいのです」「ストーカーの唄〜3丁目、貴方の家〜」(←これは必読!)、「ロンリー」「Believe in yourself」「いつの日も」が総合TOP200入りしている。今年は結婚、妊娠とおめでたい話題続きだが、今後、出産を経てさらにユニークな視点でのギターロックを聴かせてくれるか楽しみな存在だ。他にも、アイドルグループの中では珍しく、歌詞サイト人気常連の嵐の最大人気曲が二宮和也のソロ曲「虹」というのも興味深い。これは、07年のアルバム『Time』の初回限定盤のみに収録されていたが、最近になって、“二宮和也ソロ恥ずかしすぎランキング1位曲”として大量にリツイートされていることも大きいようだ。確かに、このドリーミーさは突出していて、王子系キャラが好きな人は中毒になりそうだ。

 ということでメーカー別でみると、いつもは気づかない人気曲にも気づけるのが興味深い。個人的には、90年代の名曲「糸」が最大人気となっているヤマハミュージックコミュニケーションズに、ひと月でも十分なので、これを超える人気曲を作っていただきたいところ。どのメーカーも応援しています!

第10位:CHIHIRO「やっぱり好き」

 06年より音楽活動を開始したR&B系の女性シンガーソングライター、CHIHIROの6thオリジナル・アルバム『NAMIDA CARATS』のリード曲。アルバム名からも分かるように、様々な場面での涙がテーマとなっている中で、この曲は圧倒的な片想いを綴ったバラード。“100回諦めようとしたって/1つの好きが勝っちゃうくらい”など、思い詰めている様子が手に取るように分かる。他にも、片想いから立ち直ろうと決める「RESET」や、彼氏にとって自分の存在の軽さに気付いてしまう「ずるいよ...」など、全体にダメンズ(微笑)に入れ込んでしまう一途な女子が多数登場するのが興味深い。なお、アルバムのラストには結婚式をテーマとした美しいバラードの「バージンロード」も収録されているので、失恋続きだとしても、“人生に明けない夜はない”と思えるはず。

ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。

ルーキー部門第8位:whiteeen

 今月は、8位のwhiteeen(ホワイティーン)に注目。彼女たちは、その名前から分かるようにGReeeeNの妹分としてデビューが決まったmeri、kana、hima、noaという10代4人からなるボーカル・グループ。公式サイトなどでのコメントは発表されているが、露出はイラストのみで、その素顔はGReeeeN同様に謎のままだ。
 4人は、映画『ストロボ・エッジ』のオーディションで選ばれ、2015年3月11日にその主題歌「愛唄〜since 2007〜」でCDデビュー。ご存知、2007年のGReeeeNの初ヒット曲だ。(このタイミングで、GReeeeNの「愛唄」も再浮上しており、これも含めれば、whiteeenの指数は60ポイント程度と、さらに倍増する。)
 映画の青春ストーリーに沿うように、大人ぶることもなく、また可愛く媚びるのでもなく、あくまでも等身大の爽やかな歌声が魅力的。GReeeeNとプロデューサーであるJINもそれを狙って、彼女たちを選んだのだろう。 CDカップリングの「ハンブンコ」は、ポップなのに爽やかで、これからの熱い季節にピッタリ。今後も4人ならではの爽快感、等身大感がどれだけ出てくるか、大いに期待したい。

※今月は、61.5%が「愛唄〜since 2007〜、残る38.5%がシングルカップリングの「ハンブンコ」となったので、表は省略した。

つのはず誠の「キラ☆歌発掘隊」
プロフィール:つのはず誠
つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、それまでのヒットチャートデータと理系的センスを織り交ぜた音楽市場分析が評判となり、05年にT2U音楽研究所を設立し独立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信、日経ビジネスオンライン、日経トレンディネットなどでも愛と情熱に満ちた連載を継続中。Twitterは@t2umusic
 2015年4月1日発売の渡辺美里の30周年記念アルバム『オーディナリー・ライフ』が実に良い感じ。自身の作詞・作曲曲「オーディナリー・ライフ」や彼女の往年のヒット曲を手がけてきた大江千里や伊秩弘将、木根尚登らも参加しつつ、男性シンガーソングライターのCaravanやメロディックなバンドのWEAVER、さらに実はピュアな作品の多いサンボマスターといった初顔合わせのミュージシャンも多数楽曲提供。それでも“渡辺美里”というブランドが全くぶれないのは、やはり彼女ならではのボーカル力があるからでしょう。こういったウタヂカラ系のアーティストが歌詞サイトから沢山出れば嬉しいな〜♪