ポジティブなだけじゃない、いつかの笑顔のための全4曲!

 キムチ!の笑顔がトレードマークの“足立佳奈”が、ニューシングル「little flower」をリリースしました。2017年2月、Twitterにアップした15秒動画『キムチ~笑顔の作り方~』が話題となり、同年8月にメジャーデビューを果した彼女。その明るく可愛らしい笑顔から、常に前向きで元気というイメージを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、今回のインタビューでは、足立佳奈の“ポジティブなだけじゃない”本音もじっくりと語っていただきました。そして、その想いは新たな魅力として新曲に表れているんです。是非、歌詞と併せて、ご熟読ください…!

(取材・文 / 井出美緒)
little flower 作詞:Calros K. 作曲:田畑健 好きなんだ 君へFlower 渡したい 恋のFlower
君に知ってほしいから 今日は照れないで言うよ
はじめは気づかなかった 小さな小さな花だけど
いつのまにか こんなに大きく 咲いていたんだ
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何より先に「すみません!キムチください!」って(笑)。

―― 歌を好きになったのは、小学校の頃に合唱団に入ったことがきっかけだそうですね。当時の佳奈さんにとって、歌はどんなところが魅力的だったのでしょうか。

心地の良い居場所みたいな存在だったところですね。私は結構、我が強かったこともあり、友達がなかなかできにくいタイプで(笑)。そんな自分に寄り添ってくれて、受け止めてくれるのが歌だったなと感じています。

―― その合唱団でアンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」を歌ったことも、大きな転機だったんだとか。

小学生の頃は、ふと「私は一人だなぁ」とか「今日はあんまり学校に行きたくないなぁ」とか「歌は好きだけど、将来どうしていいかわからないなぁ」とか、いろいろ考え込んで、自分に負けそうなときってたくさんあって。でもそんなときにアンジェラさんの歌詞に出逢ったんですよね。

今 負けないで 泣かないで
消えてしまいそうな時は
自分の声を信じ歩けばいいの
大人の僕も傷ついて眠れない夜はあるけど
苦くて甘い今を生きている
手紙 ~拝啓 十五の君へ~」/アンジェラ・アキ

小学生にもわかりやすいストレートな言葉で、すごく刺さるし、素敵だなって感じて。そこから「私も頑張ろう!」って思えるようになったんです。そして、私はアンジェラさんのこの歌で励まされて変わることが出来たので、私もこういう応援歌を歌えるアーティストになりたいなと思いました。今でも、作詞で一番影響を受けているのは、アンジェラさんですね。

―― 本格的に曲作りを始めたのも、小学生の頃からですか?

そうですね。アンジェラさんの歌でビビッときてからです。小さい頃からピアノは習っていたので、アンジェラさんのマネっこをして、弾き語りをしていました。最初に作ったのは「おこりんぼうお母さんの歌」という曲で、ママに対する“こんなに怖いひとはいやだ!”という想いを書きました(笑)。あともう1曲、小学生ながらに好きなひとができて、その子に向けて作った歌もありますね。

―― 佳奈さんが中学3年生であった2014年には『LINE×SONY MUSICオーディション』でグランプリに選ばれました。家族や友達の反応はいかがでしたか?

photo_01です。

周りのみんなもビックリしていたんですけど、私自身が一番驚きました。もちろん歌は好きだったけれど「絶対に歌手になりたい!」という強い意思はまだそんなになくて。だからこそお母さんが、私に現実を見させて、歌手という道を諦めさせるために、オーディションに応募したんですよ(笑)。まさかグランプリをいただけるとは思ってなかったです。

―― そして2017年2月には、Twitterにアップした15秒動画「キムチ~笑顔の作り方~」がバズりましたね。その予感というか、自信のようなものはあったのでしょうか。

ないですないです(笑)。アップしてから、みなさんがワーッとTwitterをフォローしてくださるようになって、そのフォロワー数とかRTやお気に入りの数字を見たときに初めて「こんなにみんな観てくれているんだ!」ということを実感しました。

―― どんな反応が多かったですか?

う~ん…「なんでキムチ!?」かな。あと一番多かったコメントは「キムチください!」ですね。イベントをやっても、みなさんに「はじめまして」より何より先に「すみません!キムチください!」って言われて(笑)。なぜか私は何度も「キムチ~」って笑うのが、当時のあるあるでしたね。

―― だからこそ、佳奈さんにはいつも素敵な笑顔の印象があります。ちなみにご自身では、足立佳奈の武器とはなんだと思いますか?

武器かぁ…難しいですねぇ…。でもやっぱりステージの上にいるときは、笑っていることが多いので、笑顔なんじゃないかなぁと思います。

―― 小学生の頃から続けてきたという曲作りですが、年齢を重ねると共に、書きたいテーマや感情は変わってきた部分もありますか?

はい。小中学生の頃はとにかくラブソングばっかり歌っていたんですね。でも今は将来のことを真剣に考えて悩んだりとか、友達や家族のことを思ったりとか、何かや誰かを“心配してるよ”という歌をよく作っています。そういう時期なんですかねぇ。

―― ではもし、タイアップがないまっさらな状態から曲を作るとしたら、どんな感情を落とし込みたいと思いますか?

喜怒哀楽で言えば…哀ですね。怒まではいかないけれど、怒と哀の間くらい。自分の気持ちをさらけ出したいというか。世の中への訴えとか、私の明るいだけではない本音とか、決意とかを書くかな。デビュー時は思いっきり“楽”だったと思うんですけど、今は正反対な感じです(笑)。

―― お会いするまでは、常に明るく笑顔でポジティブというイメージを抱いていたのですが、お話ししてみて、初めて佳奈さんの新しい一面に触れた気がします。

そうなんですよ。実は結構ネガティブで、いつもダメな結果を想定しちゃいます。選択したその先の良いことじゃなくて、選択した場合の良くないこととか、悪い可能性をいくつも考えてしまうほうなんです。でも、最近は自分のそういう部分もちょっとずつ歌に出すことができるようになってきたので、そこは良いところでもありますね。今回のシングルだと、とくに「私へ。」という曲なんかまさに、今の自分の感情をありのままに綴った歌詞になっています。

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