自らの“死”と直面したからこそ生まれた愛のうた…。

 3人組ユニット“Sonar Pocket”が、2017年4月26日に25枚目となるニューシングル『一生一瞬』をリリース!ソナポケの第二章を掲げる今作のタイトル曲は、その新たな幕開けとなる直前、2016年10月にボーカル・ko-daiが、死に直面するほどの大病を患ったことから生まれた1曲です。手術後、ICUを出た時に、自然と降ってきた<一生は一瞬です>という言葉…。この曲に込められたたくさんの想いを、歌詞から受け取ってください。

 また、昔から3人はメンバー同士でよく恋愛の話をなさるそうなのですが、最近はどんどんテーマがドロッと重くなってきているんだとか。(その一部をたくさん伺いましたが“西麻布で飲み歩いている女の子はNG論”などなど割愛いたしました…笑。)しかし、そんな恋愛トークをインタビューで聞くことができたのも、ko-daiさんが病を乗り越えたからこそ。彼が倒れた“あの日”の出来事を、初期症状から手術後の心境までじっくりと語っていただきましたので、こちらも必読です。

(取材・文 / 井出美緒)
一生一瞬 作詞:Sonar Pocket 作曲:Sonar Pocket・YU-G・Ryuhei Yamada
君が生きてくれることで 僕は生きたいと思えて
心から幸せだから 君が望むものをすべて
叶えていきたいと思ってる ずっと ずっと ずっと
一生は一瞬です だから君を大切にしたい
瞬きの数 増える思い出 集めて幸せにしたい
そんなこんなで いつかあっちでも出会って一緒にいよう
決して終わることがないように 約束しよう 終わりの始まり
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INTERVIEW
“その二人の姿を見て「あぁ俺、生きてる」って思いました。”

ソナポケさんの歌詞は歌ネットで非常に人気がありまして、歴代人気曲としてもう何曲も認定されております。とくに2013年に発表された「片想い。~リナリア~」は、いち早く“既読”というワードが登場したと話題になり、歌詞公開後たった一日で10万アクセスを突破したんですよね。

ko-dai:その当時って、日記とか手紙のような感じで歌詞を書いていたので、みんなが日常で当たり前に使っているようなもののワードが入りやすかったし、だからこそ物語のリアルさに共感してもらえていたのかなと思います。俺は“既読”の前に“LINE”って言葉も多分、一番早く楽曲に使ったんですよ。それが2012年の8月にリリースした「君と見る未来。」って曲で。なんか逆に、こんな既読スルー問題とかでモヤモヤしている人が多いのに「え、誰も歌詞に使ってないの?」って感じでしたね。

ラブソングも、LINEの普及で変わった部分って大きいですよね。

ko-dai:ホントそうですね。たとえば俺らの曲で一番歌詞が見られている「好きだよ。~100回の後悔」には<記念日のメール たくさんのハートマーク お互い送り合って 増えてった鍵のマーク>ってフレーズがあるんです。ちょっと前まではメールが普通だったし、それを保護して読み直したりしていたじゃないですか。でも今だったら<記念日のLINE>になるし、<増えてったスクショの数>になると思うんですよ。まぁ今の俺らが、スクショの数~♪とか歌ってたら、ちょっとキモいんですけどね(笑)。

みなさんが10代の頃の恋愛と比べて、今はこんなところが変わったなぁと思うところはありますか?

ko-dai:やっぱりSNSの存在が大きいですね。恋が終わってもSNSで元カノの行動が見れちゃったりとか。俺らが10代の頃は、別れたらもうその子を思い出すのって、写真とかもらった手紙とかメールを見返したときだけで、今どうしているかなんて人伝いでしかわからなかったんですよ。でも今って、相手のSNS投稿で「あー、なんか呑み行ってんなぁ…」とか「もう彼氏できたの!?」とかリアルタイムでわかっちゃうから。それって、フラれた側とか、好きで別れた人はより引きずりやすくなるよなぁって。あと、わざと既読をつけないとか、恋愛を成功させるための方法論というか、駆け引きの仕方も増えたなと思います。

photo_01です。

matty:告白も別れもLINEで言っちゃうみたいなところもありますよね。だから恋愛がライトにはなっているものの、人と人の距離感は離れているような気もします。そこはちょっと怖いなと思うんですよ。ただ、これ以上進んだらどうなるんだろうって考えるとおもしろいですけどね。ヘタしたら、LINEのなかだけで付き合っていて、実際には会ったことがないってこともあるわけじゃないですか。昔のメル友とか文通友達みたいな相手がどんどん増えていったりもするのかなぁって。結局そういうのもすべて歌詞にできますからね。

ソナポケさんは2005年に結成ということなので、もう17年近く3人でいらっしゃるわけですが、メンバー内での倦怠期といいますか、ケンカなどなさったことはあるのでしょうか。

ko-dai:あ~…、今まで数回mattyとeyeronがもめたくらいですね。

eyeron:そう、最初はデビュー前ね。解散しようと思ったんですよ。もともとSonar Pocket自体も長く続けるようなものじゃないと思ってたし、俺は前に他のチームもやっていたので。いつまでも二足のわらじじゃダメだなって時に、ソナポケを抜けようかなぁって。だけど当時、mattyが作ってきたトラックを聴いたらめちゃくちゃ良かったんです。そこで、この人はやっぱり才能があるし、3人でやっていきたいなと思いました。だからそれがなかったら多分、自分は今Sonar Pocketをやっていないですね。

ko-dai:それからデビュー後に2回ケンカあったね。1回目はデニーズで(笑)。番組で夏の歌を作るって企画があって、「enjoy」って曲を作っている時にもめました。mattyがeyeronに「盛り上げるためにラップしてよ」って言って、それに対して「それは違う」みたいな方向性の違いで。eyeronが怒って帰っちゃったことがあるんですよ。2回目は2013年ツアーの秋田公演の時ですね。その日、ライブの会場入り前からmattyがeyeronの服装をいじってたんです。まぁ最初は笑って流してたんですけど、そのいじりを打ち上げでも店出る時も一日中言っていて、ついにeyeronがキレました(笑)。

eyeron:そりゃ怒るでしょ(笑)!くどいわ!って。でもあの時は俺よりmattyのほうが尖ってたし、酒も入ってたからマジで殴られるかと思った。

ko-dai:俺はもうホテルにいたのに、本格的にもめ始めたらしく、戻って止めに行ったんですよ。すごい寒いなか外で喋っていて、mattyはTシャツ一枚しか着てなくて震え始めるから、上着を貸してあげたりして(笑)。でもなんか最後は「頑張ってやっていこうよ!」みたいな話にまとまって、イイ感じになって終わりました。まぁそんな可愛いケンカがあったくらいですねぇ。

そして、2016年にはソナポケとしての“第一章”を終えられたとのことですが、どうしてそのタイミングが第一章の終わりだったのでしょうか。

ko-dai:まずひとつはレコード会社が変わるというところですね。あと、このグループはずっと『ソナポケイズム』というアルバムタイトルを変えずに続けてきたんです。でも7周年を迎えて、次に10周年というところが見えてきた時、一回このソナポケらしさみたいなものをブレイクしないと、さらに飛躍するのは難しいんじゃないかなって。俺らは、もっともっと高いところを目指して、東京ドームでのワンマンライブをするってことを掲げてやっているので。だから去年『ソナポケイズム THE FINAL ~7th Anniversary~』というものをリリースして、ちゃんとした形で10周年を迎えるための第二章をはじめようということだったんです。で、そんな時に俺が倒れたんで、それを乗り越えたって意味でも本当の“第二章”がスタートしたんだなと感じます。

まさに今おっしゃったように、第二章に突入する前の昨年10月、ko-daiさんはご自身の死と直面する大きな出来事があったんですよね。胆管結石による急性重症膵炎(すいえん)という…。

ko-dai:もともと俺の体質がどうしても“胆管結石”というものができやすいみたいなんですけど、その結石が胆のうからポンッと出て、十二指腸と膵臓(すいぞう)の間にスポンとハマっちゃって。詰まった結石のせいで、消化酵素が跳ね返ってきて、自分の内臓を溶かしている状態でした。ずっと「なんか調子が悪いなぁ」と思っていたから、地方の病院に行ったりはしていたんです。でも胃炎って診断されて。最初、腹がマジで相撲取りみたいにパンパンに腫れて、自分でもネットでいろいろ検索したんですけど、“腹が腫れる”って胃炎の症状でも書いてあって。あー、胃炎ってこんなに痛いんだくらいに思っていました。

matty:うん、腹痛い腹痛いとはたまに言っていたんですよ。でもすぐに治まったりしていて。ヨーグルトなんかすごい飲んでましたね。ko-daiはこう見えて、わりとストレスが体に来やすいというか、溜まりやすいので、それが胃に行っちゃったのかなぁって思っていました。

倒れた10月7日は、もう朝からいつもとはまったく違う感覚だったんですか?

ko-dai:朝起きた段階ではまだ痛みというより、倦怠感と気持ち悪いのと。でも「おかしいなー…いつもの胃炎かなー」と思いつつ、どこかで「これ本当に胃炎か?」って感覚があって。で、時間が経つと痛みが増してきて、その日はファンクラブツアー初日で仙台のライブだったんですけど、リハーサル前、何も出ないのにトイレとソファーをずっと往復していました。そうしたらどんどん冷や汗も出てきて、ついに痛すぎて無理だって「病院に行かせてください」と言ったんです。その時には一歩進むのさえもツラかったですね。それから町医者に行ったんですけど、触診でもう悶絶しちゃって「いや、うちじゃ診れない状態です」って紹介状を書いてもらって。大きな病院ですぐに検査したら「これは一分一秒を争います」と言われました。

ご自身では胃炎だと思っていたのに、急にそんなこと言われてもすぐに状況が飲み込めないですよね…。

ko-dai:はい、他に可能性があるとしても盲腸かなって。それなら今日手術して、ツアーは大丈夫かも、みたいなことを検査中もまだ思っていました。でも「家族の電話番号を聞かせてください。簡単なレベルの話じゃなくて、死ぬ可能性もあるので」と言われて。そのあとの記憶はパンパン飛んでいるんですよ。緊急手術になるって運ばれた時にはもう意識がなくて、次に目を開けた時には、手術も終わっていて、ベッドの横に泣いているeyeronと後ろで見守っているmattyがいたんです。その二人の姿を見て「あぁ俺、生きてる」って思いました。

matty:ko-daiが病院に行くって言うから、僕らは先にリハーサルを進めていたんですよね。まぁ終わるくらいには帰ってきて、気になるポイントだけちょっと合わせて、本番かなくらいに考えていました。でもなかなか帰ってこなくて、急にスタッフさんが右往左往し始めたからどうしたのかと思ったら「ko-daiが緊急手術して、そのまま入院するから今日は中止です」って言われて、えっ…?って。その時もまだ信じられないんですよ。だって、一緒に会場入りして、ついさっきまで一緒に喋っていたんですよ。だけど、病院に行って、いろんな医療器具に繋がれているko-daiの姿を見て、はじめて「これ現実なんだ…」ってことを自覚しましたね。

eyeron:誰がいつどうなるかわからないんだなって。あまりに突然すぎて、俺もその事態が飲み込めなかったんですけど、手術が無事に終わって「生きててよかったな」っていうことを本当に思いましたね。もし命がなかったら、今この瞬間もないですからね。


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