あなたがいないとダメみたいと、なんとか言えた。

見田村千晴
あなたがいないとダメみたいと、なんとか言えた。
この一行、このワンフレーズ 一撃で明日を変えてみせる 浮かぶ顔ならたくさんある でも一番はあの日の自分だ あと一行、あとワンフレーズ 泣き出しそうな背中に 未来のあんたはすごいよって 逃げ出さなかったって シラフで夢を語れ ごまかさないで向かえ シラフで夢を語れ ごまかさないで向かえ 「シラフで夢を語れ」/見田村千晴 シンガーソングライター“見田村千晴”が3月15日に約2年ぶりとなる新作をリリース。人間味の溢れた歌詞とストレートな歌声で聴く者の心を揺さぶり、弾き語りライブにこだわり続けてきた彼女が、初のセルフプロデュースに挑んだミニアルバムのタイトルは『きっといつか消えてしまう、』です。収録されているのは全5曲。歌ネットでは2月8日から3月8日にかけて週に1曲ずつ歌詞を先行解禁しました。そのなかでもとくに人気なのが、注目度ランキングの上位に度々ランクインしている2曲目の「シラフで夢を語れ」です。 午前3時ファミレス 訳アリたちがドリンクバーで粘る 真っ白なノートにコーラこぼした かれこれ1時間筆は止まったまま 思考回路はショート寸前 いやむしろショートすれば楽になれるか? 焦りと諦めが交互に なんとか振り払って力に 「シラフで夢を語れ」/見田村千晴 <「夢」って言葉口にしなくなって もうどれくらい経つだろう>と、幕を開ける歌の舞台は、深夜のファミレス。いろんな訳アリたちがドリンクバーで粘っており、主人公もその一人。果てしない“夢”を抱えた訳アリです。そして、歌詞からは“見田村千晴”自身の日常が見えてくるようでもあります。<焦りと諦め>を<なんとか振り払って力に>変え、<一撃で明日を変えてみせる>歌詞を生み出そうと粘っている姿です。「夢」を口にしなくなったって、その情熱は決して消えたわけではなく、心で燃え続けているのでしょう。ちなみに、彼女の代表曲「悲しくなることばかりだ」(2013年発売)にはこのようなフレーズがあります。 居酒屋では饒舌に面白くもない自慢話が続く 「俺にはすごい計画がある」って君は言ったけど 君のタバコ さっきから灰が料理に散らばって 気になって話なんて聞いてられない 「悲しくなることばかりだ」/見田村千晴 居酒屋で酔っ払った男の自慢話や“すごい計画”…。しかし、酒で気が大きくなって語るそんなものは<面白くもない>。だからこそ「シラフで夢を語れ」なのです。<居酒屋>ではなく<ファミレス>、アルコールではなく<ドリンクバー>、というところでも相反するものを感じます。また、“語る”とは他者に向けて…とは限らないはず。己に語りかけるのです。彼女は、自分が一人きり粘って向き合って、音楽を作るように、みんなも夢に<ごまかさないで向かえ>と歌っているのではないでしょうか。夢へ奮起するすべての人に、前へ進むための“一撃”をくれる、「シラフで夢を語れ」はそんな楽曲です。 あなたがいないとダメみたいと なんとか言えた 下向いたまま 冗談めかすと決めていたのに 声は震えて 涙も出た 面倒な女を嫌いなことは 私が一番 知っているのに 我慢しようとすればするほど 壊れたみたいに 止まらなかった テーブルクロスの幾何学模様を 私 ずっと数えてた いつか人生が終わるとき この痛みをどれくらい 覚えているのかしら私 怖い 夕立ちが窓を濁らせて あなたをまだ帰さない 言わなくちゃ 言わなくちゃ 言わなくちゃ 「夕立よ、このまま」/見田村千晴 そして、今日のうたコラムでは、もう1曲ニューアルバム収録曲からイチオシの楽曲をご紹介。見田村千晴の歌う“夢追う”楽曲は、不安や焦燥を抱えながらも、それを上回る力強いエネルギーに溢れております。しかし“恋愛”を描く楽曲は、深い愛情のなかに<怖い>という感情が震えているものが多い気がするんです。この「夕立よ、このまま」もそうですね。<あなたがいないとダメみたい>と零した本音は、夢追う強さとは真逆の“脆さ”を感じます。他にも、たとえば過去に発表された「秘密」という楽曲。 臆病なのも 自信が無いことも 知られたくないだなんて 愛じゃないのかな だから 一緒に暮らそう、なんて言わないでよ 平凡な私に きっとすぐに飽きてしまうよ 嬉しいのに怖くて 泣いてまた困らせた すぐそばを春がすり抜けた 「秘密」/見田村千晴 本当は嬉しくてたまらないはずの<一緒に暮らそう>という言葉にさえ、彼女には同時に<怖い>という気持ちが生まれています。でも、きっとその怖さの正体こそ<愛>なのかもしれませんね。だから好きになればなるほど、<怖い>は増えていくのです。怖くなればなるほど、<愛>は大きくなっているとも言えます。その感覚はみなさんもよくわかるのではないでしょうか。好きだからこそ、それを失ってしまうかもしれないことを考えると、怖くてたまらないのです。 また、まだまだ手の届かない夢を追う人にはきっと、いつも“強くあり続けたい”という想いがあることでしょう。でも、たとえそんな人でも、大切なただ一人のそばにいるときだけは、やっと“弱く”なれるのではないでしょうか。そして、自分の弱さをも愛してくれる人がいるということが、夢を追うための強さに繋がっているのだと思います。今作のミニアルバムもそんな“強さ”と“弱さ”が揺れる名作となっておりますので、是非、歌詞を読みながらじっくり聴いてみてください。そして『きっといつか消えてしまう、』というタイトル。この“、”のあとに、あなたならどんな言葉を続けますか…? ◆ミニアルバム『きっといつか消えてしまう、』 2017年3月15日発売 REP-048 ¥1,500+税 <収録曲> 1.今度、君に会うまでに 2.シラフで夢を語れ 3.最後の告白 4.いっせーのーで 5.夕立よ、このまま
























