風の兄弟

少年の汗光らせたまま 儚(はかな)き恋を運びゆく風
乙女の肌に触れる夢さえ 見れない程に遠く
涙の跡を消してゆくもの それもまぎれない風だけど
口唇に青 心に嵐 青嵐の樹は風に舞う
今なつかしく 心に熱く よみがえる日々は 風の彼方

旅の支度に明け暮れていた 洗いざらしの心はいつか
旅の重さに少し汚れて 引き返せない道の途中
白さも混じる短い髪を乱して過ぎるそれは風
口唇に歌 心に祈り 白秋の樹は風に散る
今なつかしく 心に熱く よみがえる日々は 風の彼方

父が愛した遥かな旅を辿る背中に一塵の風
口唇に詩 心には愛 玄冬(げんとう)の樹は風を知る
草木をゆらし季節を渡る人の命は風の兄弟
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