かくれんぼ

曇った空の浅い夕暮れ
雲を浮かべて烟草をふかす 風はすっかり
凪いでしまった 私は熱いお茶を飲んでる
「君が欲しい」なんて言ってみて
裡でそおっと滑り落す
吐息のような嘘が一片
私は熱いお茶を飲んでる
雪融けなんぞはなかったのです
歪にゆがんだ珈琲茶碗に 餘った
瞬間が悸いている
私は熱いお茶を飲んでいる
もう何も喋らないで そう黙ってくれればいいんだ
君の言葉が聞こえないから
雪景色は外なのです なかでふたりは隠れん坊
絵に描いたような 顔が笑う
私は熱いお茶を飲んでいる
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