津軽春秋

潮(しお)のけむりと 鴎の唄で
俺の故郷(ふるさと) 夜が明ける
拗ねてさすらう 理由(わけ)ではないが
よされ よされの 太棹に
袖をひかれて あゝ
十和田 八戸 イヤエー はぐれ歌

やませふく夜は 忘れた筈の
赤い角巻 糸切り歯
夢がちらつく 振る舞い酒の
欠けた茶碗の 手ざわりに
未練ひとつぶ あゝ
酸(す)ヶ湯(ゆ) 弘前 イヤエー つづれ歌

芸の辛さは 地を這う吹雪
晴れ間束の間 また吹雪
いつかいつかと じょっぱりながら
越えた津軽の 冬いくつ
三味を泣かせて あゝ
竜飛(たっぴ) 小泊 イヤエー 流れ歌
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