昭和名残り唄

ふと湧き出づる 哀しみは
演歌流しの 弾くギター
諦めきれずに 消え残る
昭和時代の 名残り唄
傘を開いて 待っていた
改札口で 雨ん中

薬缶(やかん)沸かして 啜(すす)り合う
インスタントの 粉珈琲
都会の片隅 忘られた
六畳一間の 鳥籠で
夢を黙って 聞いていた
炬燵布団(こたつぶとん)に 包(くる)まって

ふと込み上げる 切なさは
プラットホームの 解(ほつ)れ髪
心が潰れる 済まなさに
故郷(ふるさと)列車の ベルの音
窓を開いて 手を振った
涙笑顔で いつまでも
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