名残り花

秋の山里 湯の宿に
恋の破片(かけら)か 夕霧(きり)が降る
あぁ 名残り花
いまも消えない 胸の火は
惚れた女の のこり香(が)か

恋のからくり もつれ糸
悔いが絡んで ほどけない
あぁ 名残り花
過ぎた月日を 振りかえりゃ
あんないい奴 いなかった

窓に沁み入る 鳴く鈴虫(むし)の
こころ細さに 眠れない
あぁ 名残り花
遠い面影 抱きながら
冷やで一杯 酒を酌(く)む
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