雪と花火

大正生まれの二人
お見合いで出会った
戦地からのラブレター
四角い丁寧な文字

やがて二人は結婚し
新たな暮らし長岡へ
朝日の中で白い息
吐きながら働いた

大きく打ち上がった花火
笑顔咲くあなた
終わればすぐに冬仕度
雪肌のわたし

いつも先を見つめている
あなたが好きだった
ずっとこのまま続くと…
続くと、思っていた

優しい光の季節
あなたは病院のベッド
毎晩寄り添った
遠くで孫の産声

新たな命抱かぬまま
あなたは永遠(とわ)に眠った
仏壇前で眠っても
一人目覚めるの

小さく散ってゆく花火
降り始めた雪
家中残るあなたの匂い
そっと消えてゆく

連れていってと夢の中
「あなたはまだまだ」と
微笑み去ってゆきました
白く染まる長岡

遠く遠く離れていても
変わらないものがあると
信じています

いつも先を見つめている
あなたが好きだった
長く生きたけれどまた出会って
お墓で二人きり
ふかふか白い雪包まれて
雪溶けほころぶ桜
今年も花火が咲く
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