扉の夏

造られた空 果てしないまま
鄙びた喧騒をあてどなく飛ぶ

古い海? 鏡の底?
何度も忘れながら
温度だけになるのさ

ほらまた、向こうで、音もなく崩れる
砂の城のような知らない街ぼやけた焦点で
散らかした部屋 見つけたものは抜け殻
窓枠 貝殻合わせたような小さな音で開く扉

「よく来たね」 夕風が手を引く
君は咲いた花に降り注ぐ
滑り込んだ手の中光ってる
そこだけが滲んでく…

あなたが振り向いてしまう前に鍵をかけた

扉の夏
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