晩秋のトロイメライ

むすんでひらいて いつの間にほつれて
何も持たない手 自由はその中に
水鳥の群れに 驚いたあの頃
砂利道を転び 母を慌てさせた

ただそこに咲く花 にはなれなかった
根無し草の ように旅は終わらず

都会に迷い込み どの輪にも馴染めず
期待する度に 理想に振り落とされた
上手に飛ぶスズメや
上手に泳ぐクジラや
生きるのが下手な人間 を乗せて回る地球

もう歩けないかも 立ちはだかる壁
行き止まりの空に 春がたなびくまで

もう走れないかも 立ちはだかる壁
行き止まりの空に 夢に 恋に 歌を奏で
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