紀州の女

今もひとりで いると云う
噂ひろって 列車に乗れば
どこまで碧(あお)い 空と海
君の故郷(ふるさと) 来は来ても
訊(たず)ねあぐねる あゝ紀州の女(ひと)よ

君と歩いた あのときの
橋もそのまま 羽衣橋(はごろもばし)も
身を引くことが しあわせと
花のよこがお 細い肩
何で消えたか あゝ紀州の女よ

南紀白浜 日は暮れて
八重(やえ)の汐々(しおじお) 夕陽に光る
明日はきっと この腕に
抱いてやりたい 思いきり
待っていてくれ あゝ紀州の女よ
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