フルーツ詩集

両手に抱いた レモンの籠に
夕陽がさせば プラム色
都会の空は またたきはじめ
マスク・メロンの 月影揺れる
二人よく来た フルーツ・パーラー
想い出すたび 詩人になれる
グラスの中の あの人が
スカッシュの 泡のように 逃げて行った
あの日 私が 泣いてしまえば
今の悲しみ なかった なかった

窓辺に置いた ガラスの鉢に
オレンジ並ぶ キャンバスよ
絵の具の筆を すべらせながら
甘いしずくで 想い出洗う
あれから来ない フルーツ・パーラー
借りてた本も 返せないまま
ライムの青い せつなさが
胸の中 恋という字 消して行った
あの日 素直に 好きと云えたら
今の淋しさ なかった なかった

あれから来ない フルーツ・パーラー
借りてた本も 返せないまま
ライムの青い せつなさが
胸の中 恋という字 消して行った
あの日 素直に 好きと云えたら
今の淋しさ なかった なかった
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