ドーナツとコーヒーとチョコレート

ずいぶん長いこと 布団に潜っていた僕は
君からのメールで ゆっくり這い出した
冬の終わり

玄関のドアノブにかけられた紙袋には
ドーナツとコーヒーとそれからミルクチョコレート

甘くて苦い だけどまた甘い
こらえたけれど少しこぼれたよ
真っ暗な部屋で僕を抱きしめる
そんな優しい味でした

そうだよな
いつまでも 腐ってるわけにはいかないよな
窓を開けて 風を入れる
もうすぐ春になるんだな

いつかの少年が
夢に見た世界ではないけれど
それよりも きっと ずっと
あたたかい暮らしがここにはあるよ

夕暮れの街に ちょっと出かけるよ
少し寒いからセーターを着てゆこう
ドーナツショップの窓に映りこむ
夕陽はまるで 君のようだ

甘くて苦い だけどまた甘い
こらえたけれど少しこぼれたよ
真っ暗な部屋で僕を抱きしめる
そんな優しい味でした
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