木々を揺らす風のように

もう戻らない暮らしの隙間から
手を振るあなたを見た
何か喋っているのだけど
ついに声は聞こえない

あぁ 帰ろう
あたたかい家に帰ろう
誰にも言わず
心の奥にしまったまま

いつか私にも解る時が来るでしょう
手を振るあなたのこと
今は解らない 解らないままでいい
愛する者のため 働こう

食べよう
あたたかい食事にしよう
満たし尽くそう 心の隅々まで

まるで音のないモノクロームの映画のよう
どこか哀しくて美しい
穏やかで騒がしい

あぁ 帰ろう
本当の家に帰ろう
みなに手を振り

木々を揺らす風のように
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