カブト虫

この町に来た頃は とんがってばかりで
土くれのような純情を 後生大事に生きてきた

人の心もわからず がむしゃらに突っ走り
裏切りや絶望を 苦い酒で飲み干した

折り合いのつかねえ この都会
東京というガラスケース
俺はいつもツノ突き合わせ
生きてきた 生きてきた

後ずさりは したくねえ
この身一つの カブト虫

叶わねえ夢ばかり 追いかけてきたけど
打ちのめされてしゃがんでも ケツはつけずに生きてきた

人の心に気づいて ガキみたいに泣きじゃくり
ここでへこんでたまるかと 地べた這いずり前に出た

折り合いのつかねえ この都会
東京というガラスケース
俺はいつもツノ突き合わせ
生きてきた 生きてきた

後ずさりは したくねえ
この身一つの カブト虫

折り合いのつかねえ この都会
東京というガラスケース
俺はいつもツノ突き合わせ
生きてきた 生きてきた

突っ立ったまま 動かずに
この身を終わる カブト虫
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