どしゃぶりの胸

そぼ降る雨に肩を押され
家路を急ぐ人の群れが
今夜、寄り添いながら消えて行く
曇るガラスを指で拭いて
ぼんやり街をながめながら
途方に暮れて溜息ついた

やるせない ほどの悔しさも
知らないで 生きたくはないと
ああ、駆け出した 遠いあの頃が
今もこの胸をしみじみ熱くする

信じるものに裏切られて
倒れるほどにすがりつけば
凍えるお前 まぶたに写る
すべてを 捨てて心重ね
二人の夢を話し合った
あの頃 怖いものなどなかった

やるせない ほどの悲しみは
お前だけ 愛しさに濡れて
ああ、抱き寄せた あのぬくもりを
遠いあの街をしみじみ思い出す

やるせなく くそくらえとただ
がむしゃらに 這ずり生きて来た
ああ、恋しがる どしゃぶりの胸が
遠いあの頃をやたらと恋しがる
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