雪すだれ

二の字きざんで 雪の道
足袋に染まった 紅緒(べにお)の色が
女ごころに 悲しく刺さる
逢いに来たのに 逢えずに帰る
白い町並 人もなく
しんしんと しんしんと 雪すだれ

赤い蛇の目の 傘に降る
雪の重さを 廻して払う
嘘になじんだ 花街ぐらし
そんな妓(あたし)を 本気にさせた
あれはお酒の ざれ遊び
しんしんと しんしんと 雪すだれ

髪のほつれ毛 あげながら
紺のショールを ころがる涙
ほんに留守なら 貴方の帰り
雪に抱かれて 待ってもいゝと
女一途の 夢を追う
しんしんと しんしんと 雪すだれ
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