形見船

たった一つの いのちの花を
冬の漁場で 咲かせてみたい
俺に残した 形見の船は
親子二代目 時化には強い
大漁旗が 風に鳴く
港一番 男船だぜ

赤い毛糸の 護りの帽子
無理はするなと 可愛いあいつ
陸(おか)に上がれば 男と女
潮の香りの ふたりの酒場
ヤン衆が騒ぐ かがり火は
港一番 男祭りだ

流れ吹雪を 背中に受けて
凍る網目を 手繰(たぐ)って進む
俺が舵取る 形見の船は
荒れた漁場で しのぎを削る
大漁旗が なびく街
港一番 男船だぜ
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