雨音

古い酒場の 片すみで
男は過去へと 旅をする
窓を叩く 雨音を
唄の代わりに 聞きながら
つまずき転んだ ぬかるみで
拾った情けの ありがたさ
しみじみ思う 一人で人は
生きてはいない
雨よ雨よ 今夜も俺は
想い出手向(たむ)ける 酒を飲む

古い傷あと うずき出し
悲しい瞳が よみがえる
窓を叩く 雨音が
いつかあいつの 声になる
一緒に歩いて やれないで
今ごろどうして いるだろか
あれほど誰か 愛した日々が
俺にもあった
雨よ雨よ 今ならわかる
人生切なく いとしいね

出会いと別れを 繰り返し
喜び苦しみ 知るけれど
それでも人は 大人になれず
悔やんでばかり
雨よ雨よ 今夜も俺は
想い出手向ける 酒を飲む
×