酒場のかもめ

飛べる翼を 持ちながら
なんですがるか この俺に
聞けばほんのり 目がしら染めて
そっとうつむく 酒場のかもめ
世間とやらの 底冷えに
泣いてきたのか おまえもひとり

いつも不幸を 選ぶ癖
肩を抱きよせ 眸(め)で叱る
誰が爪弾く 酔いどれギター
思い出すのか 酒場のかもめ
海峡はるか 故郷(ふるさと)を
捨てたあの日を 十九の春を

壁に飾った 白い花
どこか似ている けがれなさ
すぎた昔は もう振り向くな
古傷(きず)をいやせよ 酒場のかもめ
旅路のはての 北の町
春を待とうか おまえとふたり
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