男の旅情

お前を好きだと 言えないままに
おもかげ尋ねて…三年三月
元気だろうか 幸せだろか
身体(からだ)の弱い 女(やつ)だった
北へさすらう 男の旅は
赤い夕陽が 沈む夕陽が あゝ 目に染みる

海鳴り吹く潮風(かぜ) さびれた港町(みなと)
露地裏こぼれ灯(び)…侘しく潤む
酔いどれなのか 恋しさなのか
ぬくもりやけに 懐かしい
北の酒場の 可憐な花に
そっとお前を 遠きお前を あゝ 重ね酔う

つばさを濡らして はぐれた鴎
淋しく彷徨(さまよ)う…さいはて波止場
哀しい時も 切ない時も
笑顔を見せる 女(やつ)だった
北のあてない 男の旅は
出船(ふね)の哭(な)き汽笛(ぶえ) 凍(しば)れ哭き汽笛 あゝ 胸を刺す
×