母はふるさと

病に臥せった 母の寝顔に
涙がひとすじ…夜更けに伝う
故郷の島より 旅立つ俺を
見送る夢でも 見てるのだろか
「あなたの息子は ここにいますよ」
どんな時でも 母は心の ふるさとよ

笑顔で歩いた 母の人生
隠した苦労の…節くれ指よ
凍(しば)れる海へと 小舟を出して
この俺育てた 故郷の港
「あの当時(ころ)想うと 泣けてきますよ」
遠いあの島 今も切なく 懐かしい

安らぎ添えたい 母の余生に
夜汽車に揺られて…迎えに行った
故郷の朝日が 元気でやれと
親子の出船に 輝いたっけ
「あれから幾波 共に越えたね」
どんな時でも 母は心の ふるさとよ
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