放浪いの果てに

故郷を離れ 幾年か
両手の指でも まだ足りないね
名も知らぬ駅の 路地裏で
酒が沁みるよ 心のささくれに
放浪(さすら)って初めて 見えるものがある
一つところに 根を張れぬ
浮き草みたいな 男にも
夢がある明日(あす)がある 思い出がある

忘れたわけじゃ ないけれど
家路は遥かな あの空の下
待つ人もいない ふるさとが
酒に浮かぶよ しみじみ懐かしい
放浪って初めて 気づく時がある
一人残した 母親の
気丈な心の その裏の
淋しさよ哀しみよ 大きな愛よ

放浪って初めて 見える道がある
命焦がして 沈む夕陽(ひ)よ
自分に恥じずに 生きれたら
悔やむまい恨むまい この人生を
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