アカシアの女

アカシアは アカシアは
おまえの花と 名づけたよ
面影匂う 可愛いやつよ
男ごゝろを 熱くして
大事に育てた 恋だった

アカシアの アカシアの
せつない夜に 身を焦がし
わたしを抱いて ほしいと云って
酔った目をして 泣いたやつ
恨んでいるだろ この俺を

アカシアに アカシアに
晩夏の雨が 降りしきる
おまえの愛に いやされてきた
俺のむかしの 古傷が
冷たい日暮れに また疼く
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