ふるさとの舟唄

ふる里の 舟唄こいし
沖ゆく白帆よ 霞浦(かほ)のわが家よ
ただひとり残る 老いた母の
便りひらけば
文字もわびしく あゝ
一度帰れと 今日もまた呼ぶ

枯れ真菰 よしきり啼いて
ざんざら時雨よ 霞浦の入江よ
思い出は遠く ひとつふたつ
おさな馴染の
顔もはかなく あゝ
夢のかけ橋 濡れて消えゆく

浮き島は ゆりかご小島
波うつ渚よ 霞浦のポプラよ
いつの日に帰る 母の膝へ
しのぶふる里
空もかなしく あゝ
男ごころを ほろり泣かせる
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