梅と兵隊

春まだ浅き 戦線の
古城にかおる 梅の花
せめて一輪(いちりん) 母上に
便りに秘めて 送ろじゃないか

覚悟をきめた 吾が身でも
梅が香(か)むせぶ 春の夜は
戦(いくさ)忘れて ひとときを
語れば戦友(とも)よ 愉快じゃないか

明日(あした)出てゆく 前線で
何(いず)れが華(はな)と 散ろうとて
武士の誉じゃ 白梅を
戦闘帽(ぼうし)にさして 行こうじゃないか
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