紅しょうがの詩

その日ぐらしの 母(おや)と子が
今日も夕飯に 紅生姜
こんな総菜(おかず)で すまないと
涙堪えた 母の顔
いまも優しく 目に浮かぶ

頼る父には 先立たれ
苦労をかかえて 生きた母
女ひとりの 歳月は
花の咲かない 冬ばかり
さぞや寒さが 沁みただろ

母の棺に さよならと
泣いて納めた 紅生姜
遠い昔の 明け暮れを
想い出すだろ 母さんも
はるかあの世で あの空で
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