空蝉

追憶の果てに 静かに揺らめく
永遠に綴る 遥かの約束
かなしみに濡れた
ウツセミ コワシテ

絶望を 摺り替えて 孤独を愛でてた
ただひとり
君に出会う日まで

此処へおいで
心重ねよう
君の棘を 取り去ってあげる
崩れ落ちた 未来へ奏でる
叫び声を 拾い上げて
接吻交わそう

愛に裏切られ 囀(さえず)る小鳥は
烏籠を求め 彷徨い続けた
感情を閉じる
鍵ナド 無イノニ

柔らかな傷口を 愛撫するように
ただ深く
土に埋もれていた

君の毒に
その手の温度に
僕の胸は 熱を帯びてゆく
此処へおいで
すべてが虚(うつろ)に
飲み込まれて 壊れる日も
君を数えたい

叫びを上げるために 今 飛び立とう
愛の詩(うた) 語らうために
僕が熱を失くして 地へ堕ちたなら
この殻を 両手で 拾って

「儚キ 空蝉ヲ 脱ギ捨テタラ
君ハ 飛ベルダロウ 独リデモ」

此処へおいで
心重ねよう
君の棘を 取り去ってあげる
頬を濡らす 大粒の雨を
時の針を 止めるような
接吻交わそう
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