LIVE REPORT

愛美 ライヴレポート

愛美 ライヴレポート

【愛美 ライヴレポート】 『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!"』 2021年12月26日 at Zepp DiverCity(TOKYO)

2021年12月26日@

撮影:結城さやか/取材:一条皓太

2022.01.01

2011年春に声優アーティストデビューを果たし、2021年春のレーベル移籍をもって、音楽活動を本格的に再始動させた愛美。彼女にとって、約6年10カ月振りとなる単独ライヴ『愛美 ONEMAN LIVE “AI Mean It!!"』が12月26日に東京・Zepp DiverCityにて開催された。そのステージにて語られたのは、“再始動”の後に自身が作詞に携わるようになった心境や、目指すべき活動スケールについて。頼もしい生バンドと熱狂を繰り広げた同ライヴより、本稿では夜公演の模様を振り返りたい。

開幕曲は“再始動”を歌う約束の楽曲「ReSTARTING!!」。愛美の代名詞と言えるギターを奏でながら、サビ前で《聴こえるだろ? 気付いてるんだろう?》と、“ホントノキモチ”が心の奥底より昂ってくるあたりからは、マイクスタンドに両手をもたれさせて、その想いを歌声へと注ぎ込む。時にはクラップを煽る場面も。愛美の音楽が、再び鳴り始めた瞬間だ。

そこから間髪を入れず、シリアスなロックチューン「Link」で一気に音圧を上げていく。同楽曲こそ2012年夏放送のアニメ『織田信奈の野望』オープニングテーマとして知られる、彼女のレーベル移籍前の楽曲。この日はデビュー曲「天使のCLOVER」をはじめ、当時の楽曲もいくつか歌い上げられたのだが、ライヴ冒頭の前触れもないタイミングだっただけに、意表を突かれたファンも多かっただろう。かつてよりも歌声の芯が真っ直ぐでぶれず、肝が据わった印象を放つヴォーカルが、楽曲の持つ強さをぐんぐんと底上げしていく。

前述の「ReSTARTING!!」でも感じたが、愛美の低音も武器とした歌声には言葉にできない力が宿っているように思える。“どんな色にでもなれる”という想いで選んだ白のレスポールとともに、時折にステージ後方からのスポットを浴びて、逆光で影だけが浮き上がってくる愛美。その姿はさながらロックスターのようだった。そして、ギターを置き、“闇ポエム”ライターとしての真骨頂を発揮した「MAYDAY」「アナグラハイウェイ」では、低音とファルセットの高低差を軽やかに行き来し、楽曲の焦燥感へと生まれ変わらせる。「ラブレター」で手にしたのはアコースティックギター。柔らかな旋律に乗せて、失恋の傷や痛みを明るいほうへとやさしく解き放つ。愛美の歌声はこうしたストレートな楽曲でこそよく映える。

本編終盤には新曲「LIGHTS」を初披露。2022年1月放送のアニメ『現実主義勇者の王国再建記』第二部 エンディングテーマとして、自身初となるタイアップ楽曲の作詞を務めた楽曲なだけに、特別な思い入れもあるのだろう。大切なものを守りたいという意志が迫ってくる、切なくも堂々としたパフォーマンスを届けてくれた。さらに次曲「LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜」は2011年秋放送の『ベン・トー』オープニングテーマとして今なお愛される名曲。原曲にこそないのだが、この日は愛美が特別にギター演奏つきで歌唱する。10年間の自身の進化を見せつつ、歌い慣れた楽曲もあってか、思わず笑顔をこぼす愛美。何よりもこの楽曲がかつてと変わらず、ライヴのラストスパートを“担える”ほど信頼と実績を持った楽曲であり続けている事実に思わず涙を誘われる。そこから本編は「瞬間SummerDay!」でフロアーがビーチに変わったと思わせるほどの熱気を運び、「カザニア」でさわやかな風を拭き入れながら幕を下ろした。

アンコールでは、DECO*27が書き下ろした新曲「ドレス」を初披露。とその前に、この日のMCをまとめて振り返りたい。まずは「ラブレター」歌唱前、音楽活動の再始動後に、楽曲の作詞を自身で多数担当するようになった背景を告白。それは“愛美が歌を歌う理由が欲しかった”から。“自分が落ち込んでいた過去のこととかを歌詞に落とし込んだりするんですけど、曲を聴いて誰かが救われたりとか、幸せになってくれたらいいなという願いは全曲に込めていて”“ワンワードでもいいから誰かに届いてほしい”と、自身の紡ぐ言葉でメッセージを届けるこだわりを示した。また、「LIGHTS」歌唱後には“私はこの11年間、ギターのおかげでここまでやってこれた”とも振り返る。思えば『アイドルマスター ミリオンライブ!』や『BanG Dream!(バンドリ!)』など、これまでの愛美の躍進をギターなくして語ることはできない。本人の努力はもちろんだが、大好きなギターが愛美の活動を勢いづけ、この日のステージまで連れてきたと言っても過言ではないからだ。

今後の展望も語られた。“もっともっと大きなステージに相応しい人になりたい”。さらに、この言葉を口にするだけの覚悟が自身にあるのかを再確認するように少しの間を置ながら“願わくば...ソロでギターを持って、武道館に立ちたい”とも宣言。“やっぱりソロでも諦められない夢があるので”とも想いを滲ませていたが、過去に夢を諦めかけたことがあるのだろう。それでもいま、愛美の音楽は鳴り始めている。

そんな愛美だが、この日はライヴ終盤まで緊張気味な様子がひしひしと伝わってきたというのも正直な意見である。これまで多くの大舞台を達成し、当日はすでに昼公演を終えていたにもかかわらずだ。それほど音楽活動に懸ける想いも大きいほか、ソロアーティストとしてステージに立つプレッシャーは相当なのだろう。だが、ここである救いが。アンコールでサプライズ登場を果たした“Special Massive Friends”こと“チームY”である。チームYとは、佐々木未来、伊藤彩沙、愛美の3名で構成される声優YouTuberユニット。今や十年来の仲なだけあって、佐々木と伊藤がこの日の物販にはない、ユニットのオリジナルグッズであり、会場の誰よりも目立つビビッドなピンクとイエローのフーディを纏って登場すると、愛美の表情がすぐさま綻ぶことに。実はライヴ前日は愛美の30歳の誕生日。舞台袖からバースデーケーキを運びながら、ハイテンションすぎるバースデーソングを歌う伊藤に“声、高っ”とツッコむ頃には、“ふたりの間に挟まれたら急に素に戻っちゃった”と語っていた通り、いつもの関西弁&地声トーンの“あいみん”になっていた。

そこから佐々木と伊藤による誕生日のお祝いの台詞が揃わず、サプライズが悪い意味でなくグダグダになったり、伊藤が「MAYDAY」でのダンスを速攻で“完コピ”してみせたり。まるで実家のような安心感を覚えるリラックスタイムを挟んだことで、愛美も何かが吹っ切れたのだろう。ライヴの最後に歌った「ReSTARTING!!」では、自由に、伸びやかに、時に言葉の要所をラウドに発音したヴォーカルでフロアーを煽るなど、開幕披露時から頭ひとつ飛び抜けた歌唱力を見せつけていたのだ。誇張抜きで会場全体が揺れ動いていた。

言わずもがな、この日のパフォーマンスはどれも素晴らしかったのだが、同時に誰もが気づいたことだろう。これが愛美の本当の歌声なのだと。最後の最後まで観る者に驚きを与える存在。そう思える一夜だった。

撮影:結城さやか/取材:一条皓太

愛美

アイミ:兵庫県神戸市出身。2010 年に『探偵オペラ ミルキィホームズ』にて声優デビューし、翌11 年には『アスタロッテのおもちゃ!』OP テーマ「天使のCLOVER」で歌手デビュー。その後、声優として『ぼくたちのリメイク』小暮奈々子役、『戦姫絶唱シンフォギアXV』ミラアルク役、『アイドルマスター ミリオンライヴ!シリーズ』ジュリア役など、数多くの作品に出演。15 年、ゲーム、アニメ、コミックスをベースにしたメディアミックスプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』発のリアルバンドとして結成されたPoppinʼParty のフロントメンバー・戸山香澄役(Gu&Vo)として大ブレイク。得意とするギターを携えて数多くのライヴステージに立ち、Poppin'Party はガールズバンド史上最速の日本武道館公演を行なった。

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 6

    6. いやよいやよもすきのうち

  2. 7

    7. Twinkle Starry Night

  3. 9

    9. LIGHTS

  4. 10

    10. LIVE for LIFE 〜狼たちの夜〜

  5. 13

    <ENCORE>

  6. 14

    1. ドレス (新曲)