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BRADIO ライヴレポート

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【BRADIO ライヴレポート】 『Joyful Style Release tour 2021 ~止められない ファンクネスを、今~』 2021年6月19日 at LINE CUBE SHIBUYA

2021年06月19日@

撮影:ヤマダ マサヒロ(@yamada_mphoto)/取材:田山雄士

2021.06.23

“別に今まで妖怪だったわけじゃないんだけど、『Joyful Style』を作って初めて人間になれた感じがすごくしていて(笑)。なんか単純に、人が好きだなと思ってます。対人関係ってのは悩みのひとつでもあるとしても、やっぱり人がいないと面白くないし、シンプルに人の笑顔がめちゃめちゃ見たいんですよね。こうやってその素敵な笑顔を見せに来てくれて、本当にどうもありがとう!”――ライヴ終盤、嬉しそうに話す真行寺貴秋(Vo)の言葉は、お客さんがいることのかけがえのなさ、そして人間味あふれる音楽でありたいというBRADIOの信条が強く伝わってくるものだったと思う。

6月19日(土)の東京・LINE CUBE SHIBUYA公演から最高のスタートを切った、BRADIOのワンマンツアー『Joyful Style Release tour 2021~止められないファンクネスを、今~』。4月にリリースしたメジャー2ndフルアルバム『Joyful Style』を引っさげ、東名阪の3カ所を回る。もともと6月13日(日)の大阪・なんばHatchからツアーが始まる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって延期が決まり、このLINE CUBE SHIBUYAでのライヴがスライドで初日となった。なお、本公演はオンラインで生配信も実施。会場へ足を運べないリスナーにとってはありがたい取り計らいである。

今回のツアーは真行寺、大山聡一(Gu)、酒井亮輔(Ba)のオリジナルメンバーとサポートの結城泰範(Dr)と奥野大樹(Key)という布陣。その通称“BRADIO 5”が繰り出すキレッキレのグルーブには終始圧倒されっぱなしだった。音楽をやる意味といった根源的なテーマについてじっくり考え、無駄を削ぎ落とし、現在の自分たちが大切にしているものだけをギュッと詰めた『Joyful Style』。そんなありのままのアルバムだからこそ、あえてホーンやコーラス隊を外して、より骨っぽいサウンドで届けたかったのだろうか。あるいは、思うように活動できないコロナ禍を経たことによって、シンプルかつ最小限の編成でもう一度ライヴバンドとしての原点を見つめ直したかったのかもしれない。いずれにせよ、このBRADIO 5では、真行寺のレンジが広く声量のあるヴォーカルはもちろん、大山と酒井のタフな演奏力、きめ細やかな音作りもいっそうダイレクトに感じられた。

バンド結成10周年の祝祭ムードに満ちた「Time Flies」をはじめ、最新作『Joyful Style』の楽曲を次々に披露していく。真行寺の甘くメロウなファルセットが際立つ「Switch」「アーモンド・アーモンド」は音源以上に自由度の高いヴォーカルが光り、ソウルシンガーとしての凄みをオーディエンスにガツンと印象づけた。「サバイブレーション」でのスラップ奏法を絡めて縦横無尽に躍動する酒井のベースも強烈。そして、渾身のラブバラード「愛を、今」で大山が弾く涙が出るほどドラマチックなギターソロなど、生で味わってこその瞬間が続く。また、アルバムの新曲だけではなく、過去のナンバーをいいバランスで織り交ぜ、ゴキゲンな振付で盛り上がるあの曲をスペシャルなアレンジで届けたりと、胸躍ること必至のセットリストが組まれていたのもさすが。さらに、洒落た曲のつなぎ方、予測不能のセッションタイム、アカペラで濃厚に歌うシーンなど、趣向を凝らした演出が随所にあって、聴き手を理屈抜きで楽しく、幸せな気持ちにさせてくれる。

約半年振りの有観客公演とあって、1~3階席の隅々にまで手を振って応えるメンバー。“音楽ができる喜びを噛み噛み噛み噛み、噛み締めております。楽しいな。ありがとう!”(真行寺)、“いろんな人の気持ちと協力でなんとかアルバムが出せて、そのタイトルを冠にしたライヴを封切りできたっていうことでね。非常にね、想像していた何倍も感慨深かったです”(大山)、“『Joyful Style』は昨年の11月にレコーディングしたのかな? それが今年の春にリリースされて、半年以上かかってようやくツアーがこうやって実現して。来てくださったみなさんにも、配信を観てくださっている方たちにも感謝してます。スタッフが素敵なステージを用意してくれて、今日ライヴができるのが本当に嬉しいです”(酒井)と、MCでは3人ともたまらない表情を浮かべながら話す。

会場に駆け付けたFPP(FUNKY PARTY PEOPLE/BRADIOファンの愛称)たちも彼らをスタンディングオベーションで迎え、腕を左右に振ったり、座席の前で大いに踊ったりと、最高のノリでライヴを後押し。歓声が上げられない状況にもかかわらず、まるでコール&レスポンスが成立していると錯覚するほどの一体感が凄まじい。曲が終わるたびに何度も沸き起こる長く温かい拍手も印象的で、そのリアクションの素晴らしさに“なんだよ、ずいぶん会ってないうちにみんなすごくファンキーになったな”と真行寺が笑う。まさに、アルバムタイトル通りの喜びにあふれた空間がそこにはあった。

約2時間をファンキーにスウィートにロックに駆け抜け、大盛況のうちに幕を閉じた初日の東京・LINE CUBE SHIBUYA公演。この日の模様はアーカイブが配信されているので、新曲を軸としたBRADIOの熱いパフォーマンスに加え、コマネチポーズやロボットダンスをしてはしゃいだり、制限のある中でFPPと小粋にコミュニケーションを取ったりする真行寺の“Joyful Style”も合わせて楽しんでみてほしい。7月18日(日)に延期となった大阪・なんばHatchでのライヴで、ツアーはファイナルを迎える。

撮影:ヤマダ マサヒロ(@yamada_mphoto)/取材:田山雄士

※現在ツアー中のため、セットリストの公表を控えさせていただきます。

BRADIO

ブラディオ:日常の世界(Rule)に素敵な時間・空間のイメージを加え(Do Image On)、良き変化(Break)を。2010年に“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに結成。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らすドラムンベースを軸に、さらに熱唱&ファルセットを使い分ける個性の強さが魅力のヴォーカリスト真行寺の歌声でライヴに来た“FUNKY PARTY PEOPLE”を虜にするエンターテイナー集団! 13年10月に1stミニアルバム『DIAMOND POPS』を全国リリースすると、14年夏には『イナズマロックフェス2014』に出演を果たし、その後も各地のサーキットイベントにも勢力的に活動を広げる。17年10月にシングル「LAPAPARADISE」でメジャー進出し、18年7月にはアルバム『YES』をリリース。19年、シングル1作品、20年に配信シングル1作品を発表し、21年4月に約2年9カ月振りのアルバム『Joyful Style』をリリースする。

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