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筋肉少女帯 ライヴレポート

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【筋肉少女帯 ライヴレポート】 『メジャーデビュー 30th Anniversary FINAL LIVE 『ザ・サン』突入 31st!』 2019年6月30日 at 中野サンプラザ

2019年06月30日@中野サンプラザ

撮影:コザイリサ/取材:清水素子

2019.07.10

筋肉少女帯が6月30日に中野サンプラザにて開催した『メジャーデビュー 30th Anniversary FINAL LIVE『ザ・サン』突入 31st!』。そのセットリストを目にした瞬間、胸の高ぶりを抑えることができなかった。昨年から数々のステージやアルバム『ザ・シサ』のリリースによって彩られてきた、筋肉少女帯メジャーデビュー30周年イヤーを締め括るステージ。当然、30年の集大成となることは想像に容易かったものの、あまりにもツボを得たメニューに度肝を抜かれたのだ。名曲、代表曲を贅沢に集結させるのみならず、活動休止を経た彼らの歴史を語るに外せない節目の曲、そして直近のアルバムからのナンバーも加えて、30年の道のりを丹念に辿りながら最新形を披露する見事なバランスには驚くばかり。昨年末に行なわれた楽曲投票の結果も汲みつつ、大槻ケンヂ(Vo)&内田雄一郎(Ba)の幼馴染みコンビの地元でもある中野で繰り広げられためくるめく一夜は、来るべき31年目への期待を限界まで膨らませてくれた。

“お客様は神様です!”と流れる中、大槻が入場し、「サンフランシスコ」のシンセ音がファンファーレのように鳴り響いた瞬間、満員の客席が沸騰した。ヘヴィにして物悲しい旋律とシニカルな詞世界、さらに楽器陣のバカテクソロと、筋少エキスを凝縮して数多のライヴでクライマックスを飾ってきた名曲がいきなりオーディエンスの心を鷲掴み、身体を揺さ振る。そこから最新アルバムからのバングラメタル「オカルト」を投下して変わらぬアングラぶりを発揮し、MCでは大槻がステージ上のソファに寝転がって“これいいわ!”と寛ぐのだから規格外。

しかし“神様”を喜ばせる彼らの手腕は超一流だった。ファンならずとも知る「日本印度化計画」、歌詞の真意にハッとする隠れた代表曲「香菜、頭をよくしてあげよう」等、客席がひとつになって声を合わせるたび胸に迫るのは、テクニカルなプレイが束ねる崇高な一体感と、そこに込められた目線の温かさ。どんな歪みもあるがまま受け入れる大槻の詞は、都合の悪いものから目を逸らすことのできない不器用な人間にとっては福音に等しい。猟奇的な情景をどこまでも美しく歌い上げる「Guru最終形」では、熱唱する彼とともに手を振るオーディエンスの合唱に涙腺が崩壊寸前。こんな解明不能な感動を与えてくれるのも筋少だけだ。

「イワンのばか」など爆発力満点の人気曲や、「釈迦」「元祖 高木ブー伝説」など彼らの名を世に広めたナンバーも織り交ぜて、その歴史を振り返った30周年ライヴ。“ロックバンドは常に現在進行形じゃなきゃいけない”と、大槻がMCで放った言葉を身をもって証明した濃厚すぎるステージだった。

撮影:コザイリサ/取材:清水素子

筋肉少女帯

キンニクショウジョタイ:1982年に中学の同級生だった大槻と内田を中心に結成。インディーズでの活動を経て、88年にメジャーデビュー。不条理で幻想的な詩世界と、卓越した演奏力が高次に融合する独自の世界は、日本ロック史上に際立った異彩を放ち、その名を残すことになる。98年に活動凍結。各ソロ活動を経て、06年に大槻、内田、橘高、本城の4人で活動を再開し、大型イベントへの出演他、精力的なライヴ活動を展開。16年10月には『再結成10周年 パーフェクトベスト+2』を、17年10月にはカバー、セルフカバー曲なしの全曲書き下ろしのオリジナルアルバム『Future!』をリリース。18年6月にはメジャーデビュー30周年イヤーに突入し、さまざまな作品のリリースやライヴを行なっている。

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