陸中恋挽歌

砕(くだ)く白波 陸中の
きりたつ崖は 涙も殺す
一人ふらりの 旅なのに
わたしをふりむく 影もない
愛に切られた 羽なしかもめ
ばかな女の 姿でしょうか
悲しみだいた 荒波が
ヒュルリ ヒュルヒュル
…泣くばかり

北緯四十度(ほくいしじゅうど) 黒崎(くろさき)の
心にのこる 灯台あかり
闇の海面(うなも)を 照らしてか
うねりに消えてく 白い顔
岬がくれの 想い出宿で
寒さ凌(しの)いで 恋口紅(こいべに)引けど
小窓をたたく 海鳴りが
ヒュルリ ヒュルヒュル
…胸をさす

愛に切られた 羽なしかもめ
ばかな女の 姿でしょうか
悲しみだいた 荒波が
ヒュルリ ヒュルヒュル
…泣くばかり
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