以蔵残月

酒で その身を 洗うのならば
何で 以蔵よ 人を斬る
破れ単衣の 肩口に
赤い天誅の 血を染めて 血を染めて

(台詞)
あゝ 無学って奴は つれえなあ
無学って奴は…
だけど 俺ら 飼い犬じゃねえんだ
土佐の 土佐のサムライなんだよ…

満月(つき)に 映せば 心の弱さ
何で 以蔵よ 剣を抜く
構え八双の 影落し
鴨の河原の 砂利を踏む 砂利を踏む

(台詞)
あゝ 今夜も 人を斬っちまった
人を…よ
そんな夜は 女を女を抱かなきゃいられねえんだよ
淋しくてさ 淋しくてよ…

酔えば 涙か 酔わなきゃ武士か
何で 以像よ 死に急ぐ
一升五合(ごんご)の どんぶりに
土佐の荒波 飲みほして 飲みほして
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