おやじの舟唄

「学がないから 手紙は好かん」
頑固なおやじが 自分から
たった一枚 便箋に
舟を下りたと 走り書き
石より重いよ この便り
聞こえてくるのさ
…おやじの おやじの舟唄が

『海は広いと 云うけれど
せがれ住む街ゃ なお遠い』

どこも昔は 貧乏所帯
それでも酒だけ あったよナ
いつもおやじと 比べられ
影が薄いと 云われたよ
故郷恋しく 酔うばかり
聞こえてくるのさ
…おやじの おやじの舟唄が

コート羽織れば 目に浮かぶのさ
男の匂いの ゴム合羽
いつかおやじの 生き方を
俺も追ってる 四十路坂
帰ろか あしたはあの海へ
聞こえてくるのさ
…おやじの おやじの舟唄が
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