挽歌

19の夏が過ぎ 煙草を吸いはじめ
真っ赤な口紅を はじめてひいてみて
似合っているわねと 僕に明るく問いかける
黙ってうなづいて 僕は笑ってみせたのに
はじめてのこと はじめてのこと
肩をいからせ歩いてみても
かくせはしないこともある

乾いた街並の 冷たい風の音に
貴女の行先を 尋ねてみても
むなしく砂をはき 紫雲英の花びらも
やさしいまなざしで 僕の前から運び去る
教えておくれ 教えておくれ
悲しい春はもう沢山さ
重いコートをまだ脱げない

教えておくれ 教えておくれ
悲しい春はもう沢山さ
重いコートをまだ脱げない
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