沈黙

君のためなら、僕は死ねるよ。何千何百何十何回でも。
だけど、本当に最後の、最後の一回は、ぼくがほんとに死ぬときだろう。

何が嘘だろう、何が本当だろう、
心はいつもここにあるっていうのに、
空気に触れたら酸化してしまう、ワインのように、
言葉は雨に濡れた鉄のよう。

だから僕らは手を繋いでる、口づけをし、愛をかわし合うんだ。
空気を越えて伝わる、嘘も本当もなく。僕らはなぜかそれを知っている。

ジョンレノン、世界平和はどんな形だろう、
柔らかくて暖かいマフィンのようかな、
日曜の朝に響く、フライパンの音のようかな。
ジョンレノン、世界平和はきっとこないよ、あなたを愛せば愛するほど、
いよいよそんな気がしてくるんだ。

平和に暮らすこと、大切な人たちと、
それは見えない誰かを相手にしてるんじゃなくて、
触れて泣いて笑って、抱くと暖かい、地球の裏側のことなんかじゃない。

何度でも確かめよう、何度でも祈ろう、全世界が愛に包まれるように。
だけど“無数” の人間を愛しながら、“ただ一人” を愛せるだろうか。

ねえ神様、世界はあまりにも広くて、何十億の愛と、それを守る摩擦が、
至る所で、煙を上げてる。
ねえ神様、僕は大事にしようと思う、平等でも 公平でも ない特別な、
ただ一人と抱き合えることを。

僕らは神のように広大でもなく、宇宙のように果てしないわけでもない、
それでも僕らは広大であろうとする、次々に溢れ出る可能性を抱えて。

目を閉じて感じた、耳を澄まして感じた、
愛する人よ、何度でも語ってほしい。
夢のような未来を、あまりにももろい理想を、
息が止まってしまいそうな現実で。
                     
激しく揺れている、沈黙が震える場所、
決して酸化することの無い、あなたへの想い。
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