記憶の森

懐かしいように甘い
突然の風に吹かれ
髪を押さえる
何か思い出しそうで
ふと首をかしげて微笑む

昔あなたに逢いたくて
後悔さえ忘れて走り抜けた

記憶の森に住む あの恋人達は
明日の悲しみも燃やした
二人の影もない百年後の空の
透きとおる青さを想う
あの森から風が吹くわ

沈み行く船の中で
最後まで奏でられた
ワルツのように
誰にも知られずにただ
「思い」だけはどこへ還るの

二人ではもうそれ以上行けない場所
確かに選んだから

記憶の森へ行く秘密の鍵はもう
私のこの手からこぼれた
あなたに愛されて寄り添うその人の
あふれる幸せを願う
思いがほら飛んでゆくわ

降り積もる思いは あの森を濡らして
やさしい吐息へと変わるの
胸が疼くような風の中を歩く
あなたは今どこで微笑むの

記憶の森に住む あの恋人達は
明日の悲しみも燃やした
二人の影もない百年後の空の
透きとおる青さを想う
そこにはほら風が吹くわ
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