ガラスの入江

好きだったのほんとよ
忘れないで…

晴れた空を映した
小さな入江
裸足になればまだ切れるほど冷たい

あの日彼のバイクの
後ろに乗って
夕陽探しに来た秘密の場所

濡れた岩に刻まれたイニシャルが
過ぎた時を呼び戻す

ブレスレット外して
砂に埋めても
手首の白さだけ消えないのね

遠い夏に刻まれたイニシャルが
波にゆれてきらめくの

砂に褪せた小舟の
縁に座って
想い出に向かって小石投げる

ガラスの入江は
ひき潮の時間
ほんの少しだけ
涙も流したの…
×