裏窓

夜明けに目覚めて 翔ぼうとすれば
裸の女が しがみつく
おれの首筋に 咬みついて
棄ててゆくなら 殺すと叫ぶ

おまえだけが 形あるものよ
もの みな壊れ 風吹く街で
痩せた乳房に むしゃぶりつけば
せめて爪立て ざわめきくれる

ラジオの戦争 かすれてくのは
くちびる奪い 吸ったから
まやかしなのは どちらだろう
流せない血よ たわむれさわげ

おまえだけが 記憶あるものよ
1秒前さえ 忘れる日々に
脚をからませ まぶしい白さ
男の牙を 誘ってくれる

ついでに女よ 言ってみたんだ
ためしに死んで みないかと
冗談なのさ 冗談なんだよ
死んだふりして まだ生きられる

おまえだけが 命あるものよ
そいつを愛とは 呼びはしないが
哀しいくらいに まぼろしならば
傷つけあって 痛みを分ける

おまえだけが 命あるものよ
そいつを愛とは 呼びはしないが
おまえだけが 命あるものよ
そいつを愛とは 呼びはしないが
×