浅野川恋唄

暮れてゆく 北の街
なつかしい金沢
浅野川 流れにうかぶ
思い出の かけら
梅の橋から 東を抜けて
あなたと渡る 仲之橋
鏡花のお芝居みたいね、と
ふたりで笑った あれは遠い日

ふりむけば 主計町(かずえまち)
雨模様 金沢
浅野川 瞼に浮かぶ
滝の白糸
天神橋から 大橋見れば
戻らぬ恋の 糸車
鏡花の芝居じゃないだろ、と
あなたに言われて 泣いた雨の日

みぞれ降る 夜の町
しみじみと 金沢
浅野川 白く流れて
まだ春は 遠い
橋をかぞえて 川辺をゆけば
逢いたい気持ちが つのります
鏡花の世界に あこがれて
いのちを燃やした あれは若い日
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