男次郎長

清水港のうわさの花は
一から十まで 次郎長さんよ
年は若いが 根性は
富士の山より でっかい男
「たいしたもんだ」……
そっと聞いてる お蝶さん嬉し顔

そりゃ親分 かずかずあるが
たよりになるのは 次郎長さんよ
やくざ渡世(とせい)を 歩いても
堅気衆(かたぎしゅう)には 迷惑かけぬ
「惚れぼれするぜ」……
うわさ話を お蝶さん今日もきく

剣も冴えれば 頭もきれる
めきめき売り出す 次郎長さんよ
どこへ行くのか 旅じたく
可愛い子分を お供に連れて
「立派なもんだ」……
ひとり見送る お蝶さん淋しそう
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