肩車

でっかな親父の肩車
前に広がる海を見て
これが男の道しるべ
男同士の話した

海の向こうで 生まれた風に
押されるように旅に出た
たどり着いた 都会の夜空に
ひざまずいてばかりいた

いろんな人が生きている
夢に焦がれた東京は
光って消える ネオンのように
あてにならない街だった

くすんだ街の 飲み屋の陰に
銭にならない 「唄うたい」
夢に出るのは 親父の「肩車」
帰りたいけど意地がある

惚れた女の心柄
明日に見晴らす空を指し
これが二人の道しるべ
君と未来の話した

早いか遅いか それよりも
ひたすらここまで 生きてきた
やっと登った丘の上から
見えない海を見つめてた

泣いてたまるか 俺の夢
まだまだ旅は続くけど
口先だらけのこの街で
親父の背中が懐かしい

くすんだ街の 飲み屋の陰に
俺はひとりの 「唄うたい」
夢で飛び乗る 親父の「肩車」
来月あたり帰ろうか
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