花の渡り鳥

広い世間も 追われて渡る
渡り鳥には 狭い空
浮いた浮いたの 浮世の春を
浮いちゃ通れぬ 義侠の旅は
笠で分けてく 花吹雪

惚れてくれるは うれしいけれど
惚れて返せば 罪つくり
初心なあの瞳を 背中で逃げて
詫びの印に 一節投げる
唄は追分 三五郎

峠越えれば 故郷は近い
近い故郷を 遠廻り
こんな姿で 親御に逢えば
泣かすばかりと 笑って羽織る
縞の合羽に 花時雨
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