漁火情話

三味(しゃみ)の音(ね)みたいな 木枯らしが
窓のガラスに つきささる
夜がくる度 女です
燃える心を さとしても
肌があなたを 忘れない
灯(とも)る漁火(いさりび) 片瀬波

三年先でも いいのです
せめてあなたと 暮らせたら
紅を引く度 女です
腕をまくらに ゆりかごに
夢をみさせて 一夜でも
沖の漁火 誰を待つ

小雨がみぞれに 変わる頃
北の港は 雪の中
爪の先まで 女です
いくら 私を泣かせたら
あなた 心が済みますか
ゆれる漁火 夜明け前
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