空蝉

単衣の着物で 燃えた夜
袷(あわせ)着たって 寒い秋
叶うはずない 夢だから
身を裂く思いで 諦める
心ぬけがら 恋の空蝉

あなたは一夜の 幻ね
二度と逢う日も ないでしょう
胸の奥底 秘め事を
隠して生きるも 女ゆえ
ひとり身を引く 恋の空蝉

木陰に隠れて 泣きました
未練なごりに 濡れる袖
遠く離れて 旅の宿
深山(みやま)の紅葉が 焦がれ散る
運命はかない 恋の空蝉
×